協同組合で働いていた

俺が某中小企業協同組合の事務局で働いていた時の話。

この協同組合の仕事は、中小企業が集まって、資材を大量に購入して組合員に安く売ったり、入札参加して大きな仕事を取ってきて組合員に割り振ったり、関係省庁や役所なんかと折衝する事務局のことね。

面接時は「普通の会社と変わらないから」といわれて就職したんだが、内部が腐り果てていた。

まず、理事長の一族による放漫経営。

具体的には、一族の長男が会長、会長の従兄弟が専務、次男が常務…という感じで、役員のほとんどが会長の血脈。

残る部長格も、血脈たちの後輩やら親族。

あとは関係省庁や役所からのコネ。

全職員数500人のうち、コネ入社が三分の一。

コネが全くなければ課長になるのが精一杯みたいな組織。

だから、みんな、仕事にヤル気なんかない。

頑張って働いても、昇給も昇格もコネ入所には負けるから。

なんとなく働いたフリして、簡単な仕事でもわざと時間をかけて、仕事ながなくても残業代のために居残る。

俺は、当時、結婚を考えていた女もいたし、若いからヤル気に燃えてたんだよね…

前任者が3日かけてやってた仕事を1日で終わらせ、自前のノートPC持ち込んでマクロ組んだりしてさ。

まさか、それが徒になるとは思わなかったんだよ。

一般職員は「出世を諦めて、のんびりと楽にやって定年を迎える」しか考えてないし、

コネ職員は「自分たちの天国が安泰でさえあればいい」しか考えていないわけだから、俺みたいなのは「異分子扱い」されちゃうわけだ…

一般職員からは「むきになるなよ」と言われ、わざと資料やデータを出さなかったりされ、コネ職員からは、いちいち難癖を付けられて、仕事のやりなおしを命じられる。

どういうレベルかといえば

「報告書の枠を、あと2mm増やせ」
「タイトルの文字をゴシックではなく明朝体で」
とか。

俺は、それも自前でDTPソフトを買ってきてクリアーしたんだが、最終的には資料室勤務にされた。

定年間近の室長と俺の二人きりで、午前中は新聞の切り抜き、午後はその切り抜きを部署に配布。

昼の二時過ぎに、関係省庁に行ってプレスリリースを貰ってきてファイリングする日々…

このままじゃ頭がおかしくなるんじゃないか(実際、抑鬱症と診断された)、って頃に、珍しく室長から酒を誘われた。


赤提灯で呑みながら、室長は「キミは、こんなところで腐っちゃイケナイ」と転職を勧められ、室長の大学時代の同期が社長の、情報処理系企業のシンクタンクに転職した。

協同組合入所から5年で転職…一部のコネなし同期だけが送別会をやってくれた。

シンクタンクに入社してからは、とにかく忙しかった。

でも、給料も良かったので晴れて結婚。

シンクタンクの仕事にも慣れた転職から3年経った頃、参加プロジェクト途中で部長から呼び出された。

「キミ、この協同組合に居たよね?」

「この組合のメインバンクから、この組合を建て直して欲しいという依頼が来てる」

喜んで引き受けたよ。

これで、あの組合をまともにしてやれるって。


メインバンクからの資料を見ると、俺が辞めてから3年で、協同組合の売り上げは半減していた。

職員へのボーナスカットでしのごうとしていたけど、余分な資産の売却などは一切していない。

俺は、まず、ここを責めた。

組合は保養施設を7つもっていたが、そのうち、一般職員が使える施設は2つだけ。

うち3つは幹部職員だけが使える施設で、残り2つは会長一族のみが使える実質的な別荘。

会長一族は、そりゃ反対した。

「うちは職員を大事にしてるんです」

って。嘘つけ…

次に、会長の親戚しか働いていないショールームと配送センターの廃止。

どちらも会長一族所有の土地に建てられ、年間一千万円以上の賃貸料。

相場から考えたら、異常な高値。

これらは、普通に帳簿を見てるだけじゃ、すぐにはわからない。

実に巧妙に隠してあった。


それをすぐに嗅ぎつけてくるのはオカシイ、密通者がいるんじゃないかと、内部で噂が流れたところでリストラ。

やり方は簡単。

コネ入所の職員を、俺の知る限り、リストアップ。

コネ入所でもまともな人は居たから、その人たちにのみ面接。

面接会場は、組合所在地から離れたホテルの一室。

面接者は、メインバンク、シンクタンクの上司、そして俺。

みんな、俺の顔を見て、アッと驚く。

話すのは基本的に俺がメイン。

「○○さんは、あの組合において珍しいまともな人だったので、こちらにお呼びしました」

「まだ、私の知らないコネ入社の社員いますよね?その人の名前を、今、このリストに記入してください」

「そのリストの中で、まともに仕事をする人の名前には○をつけてください」

「プロパー(コネではない)社員の中で、この人は仕事が出来るという人を10人書き出してください」

最初は「仲間を売れない」とか「親戚だから」と渋っていても、こちらが無言で5分も眺めてると、すぐにリストを書き出したよ。

そのリストを元に調整して第二次リストラ。

あえて役員には手を出さず、一般職員を中心にリストラ。

役員=会長一族は、自分たちは安泰だから、ホイホイと首を差し出してくれる。

計算上、現在の売り上げと利益だったら、問題ない組織へと無事にスリム化。

その間に、メインバンクと上司で、組合員である中小企業社長たち巡り。

仕上げに緊急総会を開いて、会長一族を一斉に解雇。

仕事が出来て、ヤル気のあるプロパーを中心に経営陣刷新。

社内経理システム、昇給昇格システムの一新などなど…

2年がかりの建て直しという名の復讐をしたのであった。

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2017-08-01 14:21 : となりのキチさん : コメント : 0 :
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