彼の兄嫁が豹変した

フェイク有り

事情あって弟に代わり私が家を継ぎ、彼が婿入りしてくれることになった。

私父と彼父は、同じ厄介な持病持ちで意気投合し、長年の親友のよう。

すっかり喜んだ両親は、私たちに自宅を譲ると言い出した。

家は放っとくとすぐに竹やぶ化するし、いろんな害虫が湧くし、何故か認知症のご老人達が徘徊した末の終着駅になってるし、色々大変。

両親には管理がそろそろキツくなってきたので、私たちに家を譲って、両親は町中にマンションの一室を買って暮らしたい、と言う。

彼と相談して、結婚したら共同で両親から自宅を購入することにした。

それを取り決めた数ヵ月後、彼父の家で同居してる彼兄・彼兄嫁と会った。

初対面の彼兄嫁は明るい美人だった。

二人で洗い物してる時に、こんなことを言われた。

「地図で見たけど、実家広いねーお金持ちなんだねー。若いのにM町に自宅持ちとか、超セレブだよねー」

私の自宅があるM町は、昔は周囲の道路事情が悪く、地価も激安だったが両親がそこの土地を購入、家を建てた直後に都市開発が始まり、地価高騰。

交通の便はいいが自然も豊かという、今や人気の居住区になっている。

そんな中でもうちは最高の環境なので、一番の金持ちと思われがちだが、広い庭は全て市街化調整区域なので坪単価は激安だし、父は普通の退職リーマン。

都市開発で財を成した人が多く越してきて、金持ちが多い地区ではあるけど、M町住まいがセレブとか初耳だし、大都会でもないのに変な感覚と思った。

まあそこまで説明することもなかろうと、軽く流していたら唐突に言われた。

「ねえ同居しない?広いんだし、私たち夫婦も一緒に住めるでしょ?
この家は狭くって。いや義父さんの面倒は引き続き見るつもりだけど、
やっぱり親戚同士って、近くに住んで助け合うべきだと思うし、
私だって新婚さんに助言できること多いし、子供できたら協力できるよ!
管理が大変な庭に若い二人だけじゃ大変だと思うんだよねー。
仲の良い若夫婦二組が一緒に高級住宅地に住むってドラマみたいだよ!
何なら二人はマンション暮らしにして、私と旦那が管理人してもいいよ」

…ないわー…

こんな分かりやすいクレクレは初めてでパニクり、「お断りします」と直球で返してしまった。

すんごい目で睨まれた後、「冗談が通じないね、つまらない」と吐き捨てられた。

帰ってから彼に相談すると謝られ、話を聞いた彼兄からもお詫びの電話があったが

「KYなジョークだった。嫁は根はいい奴。許してやって」
という謎のフォロー。

彼は怒ったが、親族顔合わせの食事会を週末に控えていたから、私は目をつぶった。

遠方から弟夫婦が来るのに、もめて今更中止なんて出来なかったし、式は挙げないので、顔合わせはキッチリしておきたかった。

腹は立っていたが、数時間程度の食事会くらいなら耐えられるし、彼が彼兄と不仲なので、結婚しても付き合いはなくて済むだろうと踏んだ。

両親にも彼父(彼母は他界)にも黙っておくことにした。


食事会当日は何事もなかったかのように進み、無事に終了した。

店を出る前に私・母、私父・彼父・弟は五人でトイレへ行った。

弟はトイレから出たらすぐに、残る四人は揃ってから一緒に、部屋に戻った。

そしたら私たちの部屋で大騒ぎが起こっていた。

取っ組み合う彼と彼兄。

彼兄嫁を羽交い絞める弟。

それを時々振り払っては皿やコップを彼に投げつけ泣き喚く彼兄嫁。

半泣きで乱闘を止めようとする料亭の店員さん。

号泣する彼兄夫婦の息子と、彼を抱き上げて部屋を飛び出す義妹。

頭が真っ白で立ち尽くす役立たずな私。

血圧が急上昇したか、フラフラ崩れ落ちる私父。

悲鳴を上げる母。

THE・修羅場

私父は救急車で運ばれていき、母が付き添った。

彼父と私でお店にお詫びして、まだ興奮さめやらぬ四人を駐車場まで連行。

比較的落ち着いていた義妹に事情を聞いたところによると、五人が席を立ってから、彼兄嫁がこう言い出したのだそう。

「土地や家の権利は彼君が持った方がいいよ、別れて追い出されたら困るでしょ?
共同権利は色々もめるし、こういうのは男が管理するのが当然だよ。
あの土地すごく高く売れるんだから、きっちりしとかないとね。
Aちゃんって絶対に頭良くないしダメじゃん。心配だな」

ここで彼が激怒

「財産狙ってるのも頭悪いのもあんただろ!?」

彼兄が激怒「俺の嫁を侮辱するな!」で乱闘開始。

ふすま越しに聞いてた弟も激怒して乱入、彼兄嫁を詰問していたら、激昂した彼女に皿などを投げつけられて腕を負傷したそう。

説明の間、彼女はずっと「土地成金が偉そうに!」的なことを喚く。

彼父激怒して彼兄夫婦へ説教開始、その合間合間に私と弟夫婦に謝って、急にフラフラ崩れ落ちる彼父、更に泣き叫ぶ彼兄息子。

救急車もう一台追加。


私父は念のため翌日まで入院したが、大事はなかった。

退院早々に彼父・彼がお詫びと説明にやって来た。

彼父は即日帰宅できて、呼び出した彼兄嫁の両親と共に説教&事情聴取済みだった。

彼兄嫁は昔、不動産屋で働いていて、うち一帯が特に売り出し待ちと知ってた。

更に彼女の友人兼ライバルが去年、市内の古くからある高級住宅街に嫁いで、セレブ自慢をしてくるので、自分もM町中でも一番立地のいい家に住んで、彼女を招待して悔しがらせたかったのだそう。

「私がダメで、低学力で田舎っぽいボーっとした夫婦がM町住まいなんてひどい」
と言って、母親に殴られたらしい。

彼兄は「妻は上昇志向が人一倍高いだけ。僕の稼ぎが悪いせい」と庇う。

彼父は「あんな義兄夫婦ができるが息子と結婚してくれなんて言えん」と土下座して泣く。

婚約破棄したくなくて私も泣いたところで、私父がどうにかおさめてくれた。

「彼君が財産狙いじゃないことは分かるから、このまま家族になってください。
Aはあまり頭も良くなくて(ひどい)心配だが、彼君になら土地共々任せられる。
彼父さん、僕らは戦友じゃないですか。家族になってください」

父同士は抱き合って男泣きに泣いた…これもまあ修羅場といえば修羅場か


以上が私の修羅場です。

彼兄夫婦には、私たち一家に今後一切近づかないと誓約書を出させた。

彼兄嫁からは丁寧な言葉を書きなぐった詫び状が届いた。

彼女の両親からも後日、丁寧なお詫びをいただいた。

本当に穏やかで常識的な方々で、どうしてこうなったのか不思議でならない。

彼兄は、「Aさんには謝るが、嫁だって完全には悪くない」と態度を硬化させていき、彼父の激怒を被って、一家で彼父の元を出て行った(仕送りはしてるそう)

すっかり凹んだ彼父だが、私父とお泊り会など繰り返すうちに、やや元気になった。

でもお孫さんに会いたいだろうな、部屋のあちこちに飾ってある写真が少し悲しい。

無事に入籍し、今は穏やかに暮らしているが、また父二人がデートのように旅行に行き、さすがに母がすねたので宥めてきた。

もう修羅場は勘弁してほしい。

支援感謝



すみません、説明不足でした。

仕送りは義兄が義父にしてます。

同じ市内にいるし、絶縁したわけではないようです。

義父は食事制限が大変なのに、義兄嫁は非常に丁寧にお世話していたようです。

今は私が義父の食事を管理してますが、私じゃ不満かも…と思えるほどです。

気弱な義兄をよく支えて成長させたし、美人で明るく情の厚い素晴らしい嫁だと、それまでは褒め者だったそうですし、義兄もぞっこんです。

でも前々からKYで金にうるさく攻撃的だったと、彼というか旦那は評しますが、それでも

「何でこんなことになったかなぁ」
と呟くほどの豹変でした。

よっぽど土地に対してコンプレックスがあり、それを私たちが刺激してしまったのでしょうか…

長年住んでますが、M町に住んでることは全然ステータスにならないんですけどね。


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2017-07-26 22:14 : となりのキチさん : コメント : 0 :
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