母のことを愛したことは一度もない

中学生の私に向かって、父は言った、母のことを愛したことは一度もないと。

青年時代、父には愛する恋人がいたそうだが、父実家も貧乏、その三男である父も貧乏。

自分と結婚したら、大事な恋人は確実に苦労する(父実家よりも裕福な家庭の娘さんだったらしい)、でも世間体のためには、誰かと結婚しなければならない。

そこで「好意を全く持っていないので苦労をかけても胸が痛まない相手」である母を選んだそうな。


小学生の私に向かって、母は言った、おまえは親戚から貰った養女なのだと。

私が実母の腹の中にいるときから、どうやら横取りしようと狙っていたらしい。

「絶対に、女の子。もし生まれてきたアンタが男の子だったら、いらなかった」

母の言葉は、小学生の私にとって不思議なものだった。

実子が男の子ばかりで、どうしても一人ぐらい女の子を育ててみたいというのなら、わかる。

けれど養母にも養父にも、実子は一人もいない。

どうして女の子だったら「いる」になって、男の子なら「いらない」と極端に走るのか。
私が疑問に思って訊ねると養母は、

「どうしても、どうしても」

と言うばかりで、理由は全く教えてもらえなかった。

そして、大人になって知った養父母の秘密。


私を養女にしたのは「老後のため(タダ働きで自由に使える介護員)」だった。

なぜ女の子にこだわったかというと、男の子を養子に貰った場合だと、男は基本的に家事なんかしないものだし、成人後も身の回りの面倒を見なくてはならないから。

更に迎えた嫁が気が強くて性格が悪かったら、こちらが肩身の狭い老後を送らなくてはならない。

でも女の子を養女に貰えば、女は基本的に家事をするものだし、自分の身の回りのことも自分でする。

仮に結婚したとしても相手である夫は、婚家のすることには口を挟まないだろうから、いても邪魔じゃない。

実際に老後の世話をするのは娘一人、しかも小さい頃から育てているので、こちらも余計な気を使わなくていい。

そんな理由から。


毎日の酒代・煙草代・パチンコに通う金・スナックに通う金・複数の相手と不倫する金も時間も体力もあるのに、どうして「高校に通わせる金なんか無い!!」と私が中卒で働かされたのか。

養父母は保険には一口も加入しないくせに、私にだけは生命保険金に入らせて、こちらが万が一のときは金を出せよと、老後の生活費・入院費・治療費・葬式代・墓代みんな中卒のアンタが用意しろとニヤニヤ笑いながら言われる理由が、やっとわかった。


18歳になった私に「アチラの老後はどうでもいいからコチラの老後の面倒を見ろ!!」と離婚した養父母が再婚相手と一緒になって迫るまで、わからなかった。

結果、みんな、捨てた。

失踪した。

どこで潜伏先が漏れるかわからないから、同僚も上司も従姉妹も幼馴染みも友達もみんなみんな捨てた。

みなさんも、親戚の子供がいない夫婦に騙されないでくださいね。

「あんなに子供を欲しがっているんだもの、きっと可愛がってもらえる」

「もう年齢的に実子は望めないんだから、大事に大事に育てるはず」

そんなの、幻ですから。

私は、恋愛観も結婚観も金銭感覚も破壊されて終わった。

同性も異性も信じられないし、友情も恋愛感情も持てない、誰も愛せない。

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2017-05-15 14:19 : となりのキチさん : コメント : 0 :
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